【医師ママが解説】子どものアルコール誤飲を防ぐ5つの対策|急性アルコール中毒の危険性と予防法

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こんにちは。めぇです。

皆さんは、お酒を飲みますか?自分は飲まないけれど、家族で飲む人はいませんか?

普段飲まなくても、年末年始や親戚の集まり、来客があったとき、家族で食事に出かけた時など…。お酒を飲む機会があると、子どものアルコール誤飲のリスクも高まります。

実は、子どもは大人の10分の1以下のアルコール量でも急性アルコール中毒を起こす可能性があるんです。

今日は、子どものアルコール誤飲の危険性と、今すぐできる予防策についてお話します。

目次

子どもにとってアルコールはどれほど危険なのか

大人とは全く違う、子どもの体

子どもの体は大人のミニチュア版ではありません。

アルコールを分解する肝臓の機能が未熟なため、少量のアルコールでも体内に長時間留まり、重篤な症状を引き起こします。

具体的にどのくらい危険?

例えば、4歳の子ども(体重16kg)がアルコール度数1.5%のゼリーを1個食べただけで、急性アルコール中毒の症状が出た事例があります。

これは純アルコール換算で約1.2gとなり、アルコール度数5%のビールでは、わずか30mL(大ジョッキの10分の1程度)に相当します。

めぇ

「そんな少量で?」と驚かれるかもしれませんが、子どもにとってはそれだけで危険なんです。

子どもの急性アルコール中毒の報告数

アルコール誤飲は比較的多く発生しています。日本中毒情報センターの報告によると、2005年~2007年の間に5歳以下の飲料用アルコールの誤飲は年間132件から169件となっています。

• 年齢別では、1歳児が約6割、0歳児が約2割を占めています。

5歳以上の子どもでは、フルーツ風味のアルコール飲料をジュースと間違えて飲むケースが多く、この問題については国民生活センターが1994年以降、企業に警告を出していますが、同様の事故が依然として発生しています

めぇ

缶チューハイなどは、大人でも、ジュースと見間違えそうになるものもありますね。

急性アルコール中毒の症状

血中アルコール濃度によって、以下のような症状が現れます:

血中アルコール濃度主な症状
20~50 mg/dL協調運動の低下
50~100 mg/dL判断力・協調性の低下
100~150 mg/dL歩行・バランスの障害
150~250 mg/dL介助なしでの座位保持が困難
300 mg/dL以上昏睡状態
400 mg/dL以上呼吸抑制(生命の危険)

特に怖いのは「低血糖」

小児の急性アルコール中毒で特に注意が必要なのが、致死的な低血糖です。

血中アルコール濃度が100 mg/dL程度でも、低血糖によって意識障害やけいれんを起こすことがあります。

アルコールが肝臓での糖の生成を阻害するため、特に空腹時や夜間に誤飲した場合は危険性が高まります。

実際に起きているアルコール誤飲事故

実際の事故事例を見ていきましょう。

【事例1】洋酒入りゼリーの誤食

発生状況: 4歳の男児と2歳の男児が、冷蔵庫にあった洋酒入りゼリー(アルコール度数約1.5%)を母親に確認して食べました。母親はゼリーにアルコールが入っていることを認識していませんでした。

5〜10分後: 2歳の男児の顔が赤くなっているのに母親が気づき、ラベルを確認してアルコール入りと発覚。

結果: 急速に医療機関を受診。幸い重症化はしませんでしたが、急性アルコール中毒の疑いと診断されました。

※参考:日本小児科学会 Injury Alert No.141

めぇ

ゼリーのラベルには小さく「洋酒入り」とだけ書かれていて、一目でアルコール入りとはわからなかったそうです。

【事例2】テーブルに置いてあった缶入りアルコール飲料

発生状況: 食事中、1歳の子どもがマグカップに入れてあったぶどう味の缶入りアルコール飲料(アルコール濃度10%)を約50mL飲んでしまいました。

症状: 保護者が気づいたときには顔が赤く、様子がおかしい状態でした。

結果: 急性アルコール中毒で通院が必要となりました。

※参考:消費者庁 子ども安全メール

【事例3】紙パックの焼酎を自分で開けて

発生状況: 3歳の子どもが、のどが渇いたと言い、テーブルに置いてあった紙パックの焼酎を自分で開けてコップに注ぎ、数口飲んでしまいました。

保護者のコメント: 「注ぐまねをしていたので、飲んではいけないと注意したが、本当に飲むとは思っていなかった」

結果: 翌朝嘔吐したため救急センターを受診。アルコール誤飲で通院が必要となりました。

※参考:消費者庁 子ども安全メール

なぜ子どものアルコール誤飲が起きるのか?

理由1:「まさか」という油断

  • 「これくらいなら大丈夫」という思い込み
  • 「子どもはお酒の味が嫌いだから飲まない」という誤解
  • 「ちょっと目を離しただけ」という瞬間

こんな風に考えてしまうかもしれません。

ですが、子どもは味覚が未発達で、甘い味付けのアルコール飲料や、ジュースのような見た目の飲み物は抵抗なく飲んでしまいます。

理由2:容器の見た目がジュースと似ている

  • 紙パックの焼酎→ジュースと見分けがつかない
  • 缶入りのチューハイ→炭酸飲料に似ている
  • ペットボトル入りのみりん→お茶やジュースと間違える

まだ字が読めない子どもは、容器に書かれた「酒マーク」やアルコール分表示は理解できません。

理由3:アルコール含有食品の存在

お菓子や調味料の中にも、アルコールを含むものがあります:

  • 洋酒入りチョコレート
  • 洋酒入りゼリー
  • リゾットなどの調理済み食品
  • みりんや料理酒などの調味料

これらの一部には、アルコール含有の表示義務がない、または表示が小さくてわかりにくいものもあります。

めぇ

洋酒入りお菓子などは、容量がわかりにくいですよね

理由4:危険な場面は日常の中に

  • 年末年始の親戚の集まり
  • お花見やバーベキュー
  • 夏祭りの帰り道
  • 夜、親がお酒を飲みながらリラックスしている時間

いつもより気が緩んでいる時、環境がいつもと違う時に事故は起きやすくなります。

今すぐできる!5つの予防策

大人がアルコールを楽しむためにも、予防策は必要ですね!

対策1:お酒は絶対に子どもの手が届かない場所へ

基本ルール: 子どもの手が届く高さは、台の高さ+奥行きで計算します。

年齢手が届く範囲(目安)
1歳約90cm
2歳約110cm
3歳約120cm

参考:NPO法人 Safety Kids Japan

お酒の保管場所は以下のようなところがおすすめです。

  • 冷蔵庫の奥の方、上段にしまう(子どもは踏み台を使って冷蔵庫を開けることも!)
  • 高い棚の奥(手前には置かない)
  • ロック付きの食器棚
  • 子どもが入れない部屋

対策2:飲みかけを絶対に放置しない

我が家でも、大人が飲みかけのお酒のコップを、子どもがのぞき込んでいて、ヒヤッとしたことがあります。

以下のような対策が望ましいです。

  • トイレに立つときも持っていく、または高い場所へ
  • グラスやカップは使い終わったらすぐに洗う
  • 缶やペットボトルは蓋を閉めて、すぐに片付ける

「ちょっとの間だから」という油断が事故を招きます。

対策3:調味料の保管場所も見直す

意外と見落としがちなのが、みりんや料理酒です。

  • みりん: アルコール度数約14%
  • 料理酒: アルコール度数約13〜14%

ペットボトル入りのみりんは特に要注意です。子どもが簡単に開けられます。

対策:

  • キッチンの高い棚へ保管する
  • 子どもが入れないように、キッチンにベビーゲートを設置

対策4:アルコール含有食品のチェック

贈答品や頂き物のお菓子は、必ずラベルを確認してから子どもに与えましょう。

チェックポイント:

  • 「洋酒入り」「リキュール入り」などの表示
  • 原材料欄に「エタノール」「アルコール」の記載
  • チョコレート菓子は特に注意(1%以上のアルコール含有表示義務あり)

保管方法:

  • アルコール入りのお菓子は、子どもの手が届かない場所に
  • または、大人だけで楽しむようにする

対策5:家族全員でルールを共有

アルコール誤飲の予防は、一人だけが気を付けても不十分です。

共有すべき人:

  • お父さん、お母さん
  • おじいちゃん、おばあちゃん
  • 上の子ども(年齢に応じて)
  • ベビーシッターさんや、家事代行の方

これらの人と、子どもがアルコールを誤飲する危険性や保管場所のルール、飲みかけを放置しないルールを共有しましょう。

めぇ

年末年始に帰省するときは普段と環境が違うので、祖父母にも事前に伝えるようにしましょう。

もしアルコールを誤飲してしまったら

アルコールは摂取から血中濃度のピークまで、空腹時で約60分、満腹時で約180分かかります。誤飲直後は症状が軽くても、時間とともに悪化することがあるので、必ず医療機関を受診してください。

すぐにやるべきこと

  1. 口の中に残っているものを出させる(無理に吐かせない)
  2. 何をどのくらい飲んだか確認する(容器やラベルを保管)
  3. 医療機関に連絡・受診する

すぐに救急車を呼ぶケース

  • 意識がもうろうとしている
  • けいれんを起こしている
  • 呼吸が苦しそう
  • 顔色が悪い、唇が紫色
  • 大量に飲んだ可能性がある

やってはいけないこと

  • 無理に吐かせる(気道に入る危険性)
  • 水やお茶を大量に飲ませる(アルコールの吸収を早める可能性)
  • 様子を見続ける(症状は急に悪化することも)

まとめ:「環境」で守る子どもの安全

子どものアルコール誤飲事故は、「ちょっとした油断」から起きます

でも、親が24時間ずっと見ていることは不可能です。

だからこそ、「気を付ける」だけでなく、「環境」で守ることが大切なんです。

今日からできること

☑ お酒の保管場所を見直す(子どもの手が届かない高さ・奥行き)

☑ 飲みかけを絶対に放置しないルールを徹底

☑ みりんや料理酒の保管場所もチェック

☑ 贈答品のお菓子はラベルを確認する習慣

☑ 家族全員でルールを共有する

一緒に家族の安全を守っていきましょう!


参考資料

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この記事を書いた人

医師ママの安全Life研究所🐑
37歳在宅医師 | 2児の母

「ふわりと包む、家族の安全」

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