こんにちは。医師ママのめぇです。
子どもがおもちゃで夢中になって遊んでいる姿って、本当に可愛いですよね。
でも、ちょっと待ってください。皆さんのご自宅にあるおもちゃ、何気なく遊ばせていませんか?
「おもちゃなんて安全でしょう」と思いがちですが、実は小さなおもちゃやその部品は、乳幼児にとって命に関わる深刻な窒息リスクを秘めています。特に小さな子は一瞬の隙に口に入れてしまって…考えただけでドキドキしてしまいますよね。
今日はわが家でも気をつけていることや、医師として知り得た情報を共有させていただきます。完璧にはできなくても、知っているだけで少し安心できるかもしれません。一緒に考えていきましょう!
なぜ小さなおもちゃは危険なの?
子どもがおもちゃを誤飲する事故は、消費者庁にも多数報告されています。窒息しやすい物の特徴は、「丸くてつるつる」「唾が吸収されて飲み込みにくい」、「固くて噛み切りにくい」ものです。
めぇビー玉やスーパーボール、ままごと用の木製おもちゃなどが報告されています。


アメリカでは、歯がためジュエリーの部品の誤飲で死亡例も報告されています。


口に入るサイズって、実際どのくらい?
子どもの口の大きさは、直径が約4cmと言われています。これより小さいものは、簡単に子どもの口に入ってしまい、誤飲・誤嚥の原因となります。
また、小さなものでも、唾液などの粘度の高い液体と混ざることで、気道を完全に塞いでしまい、窒息を引き起こす可能性があるのです。
事故は一瞬で起こってしまう現実
おもちゃの誤飲・誤嚥事故は、親御さんがそばにいても、一瞬の隙に発生し、重篤な結果を招くことがあります。
ここでは、実際に発生した事例を見てみましょう(日本小児科学会 Injury Alertより抜粋)。
【事例1:スーパーボールによる窒息】
3歳9ヶ月の男児が、自宅の居間で口の中にスーパーボールを2つ入れて遊んでいました。たまたま気づいたお母さんが「危ないので出しなさい」と叱ったところ、驚いた拍子に2つのうちの1つを吸い込み、窒息状態となってしまいました。
救急隊が到着し、病院に搬入された際、直径3.5cmのスーパーボールが喉頭(のど)に詰まっている状態でした。スーパーボールの表面が滑らかで弾力性があるため、喉頭陥入後の摘出は極めて困難でした。低酸素性脳症と診断され、救命措置が行われましたが、自発呼吸は回復せず、事故から6か月後に死亡が確認されました。
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【事例2:木製おもちゃ(ままごと)による窒息】
2歳0ヶ月の女児が、マジックテープで分離可能な木製ままごとセットの苺部品(中心部直径35mm)を誤嚥した事例です。
女児は日常的に口腔内に異物を入れる行動を示していました。保護者に叱られた際、反発して口を閉じたまま異物を嚥下し、背部叩打法でも摘出できませんでした。搬送中に心肺停止状態となりました。
木製であったため、急性期の単純X線撮影では異物が確認できず、入院3日後のMRI検査により上咽頭部で発見・摘出されました。しかし、重度の低酸素性脳症により、事故から180日後も重篤な状態が継続しました。
今日からできる!おもちゃの窒息防止対策
おもちゃの誤飲・窒息事故も、注意するだけでなく、物理的な対策が必須です。
科学的根拠に基づき、私たちがいますぐ実践すべき対策はこちらです。
1.おもちゃのサイズをチェックする
窒息の危険性があるのは、直径約4cm(39mm)以下のものです。
• 誤飲チェッカーを活用する:誤飲チェッカーに入る大きさのおもちゃや部品は、すべて危険物とみなし、子どもの手の届かない場所に置きましょう。
• 分離するパーツのサイズを確認する:木製おもちゃの事例のように、マジックテープなどでくっついているおもちゃは、分離したパーツごとにサイズを確認する必要があります。





すでに家にあるものも、新しく購入するものもチェックしましょう
2. 年齢に応じた環境づくり
・対象年齢を厳守する:おもちゃを購入する際は、対象年齢を必ず確認し、幼い子どもには対象年齢外の小さな部品がないおもちゃを選びましょう。
・兄や姉のおもちゃに注意:年上のきょうだいがいる家庭では、特に注意が必要です。小さな部品やビー玉など、兄姉の持ち物が乳児の誤飲事故の原因になることがあります。
・対策:小さな遊び道具は、乳幼児の手が届かない場所に完全に隔離して保管しましょう。マンションの敷地内など、自宅外で拾ったビー玉なども、誤飲の危険を考えすぐに廃棄しましょう。



外でひろったビー玉による誤飲の報告もあるので、要注意です。
3.おもちゃを選ぶ際のポイント
安全なおもちゃの基準として、ST基準というものがあります(日本の玩具安全基準)。
この基準をクリアした商品にはSTマークが記載されていますので、これを選ぶのがおすすめです。


もし現在持っているおもちゃで、直径が3.5cm前後の丸いものがある場合は、極力子どもの手の届かない場所に保管するか、破棄するのが望ましいと私は思います。



我が家もスーパーボールとビー玉は、子どもの手の届かない場所に保管しています。
まとめ:今日から安全対策を見直しましょう
小さなものが原因で、わが子の命が危機にさらされるのは、親として何としても避けたいことです。
対策は、子どもが何でも口に入れ始める乳幼児期から、そして**「うちの子は大丈夫」という思い込みを捨てる**ことから始まります。
| 重要なポイント | 科学的根拠 |
| 口に入るサイズを知る | **直径約4cm以下(39mm)**のものは誤飲の危険がある。 |
| 分離したパーツをチェック | マジックテープなどで分かれるおもちゃは、個々のパーツの大きさで判断する。 |
| 兄姉のおもちゃを隔離 | 年齢の異なる子どもがいる家庭では、乳児が兄姉の持ち物を誤飲する事故に注意。 |
| 丸く弾力あるものに注意 | スーパーボールのように、滑らかで弾力性のある物体は、喉に詰まると取り出しが非常に難しい。 |
自宅のおもちゃ箱をもう一度チェックし、小さな危険物から子どもたちを守りましょう。
皆さんの参考になればうれしいです。









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